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アイヌ資料 2 |
<< 初回掲載日 2005/4/2 / 最終更新日 2005/8/6 >> |
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| ▲ アイヌ資料 目次へ | |||||
| ◆ チセ・ア・カラ 1976 | ◆ アイヌの民具 1978 | ◆ カムイユカラと昔話 1988 | |||
| ◆ 萱野茂のアイヌ語辞典 [増補版] 2002 | ◆ 五つの心臓を持った神 2003 | ||||
| ◆ アイヌ・暮らしの民具 2005 | |||||
● 萱野茂の仕事 萱野茂は、その著書『アイヌの碑』の中で次のように語っている。 昭和28年の秋であったと思うのですが、いつものように山の働き先から家へ帰ってみますと、父が最も大切にしていたトゥキパスイ(捧酒棒)が見えません。 ―(中略)― 萱野茂が一念発起して、アイヌの民具を買い取り、集め始めたのはこの頃である。 |
![]() 萱野 茂 |
『チセ・ア・カラ われら家をつくる』 萱野茂 著/須藤功 写真/未来社/1976 1972(昭和47)年、苫小牧郊外の「TBS樽前ハイランド」に、萱野茂他15人ほどの人たちがアイヌの民家チセ=ici=set)を2棟建てた時の記録。 4月10日の地鎮祭から、4月15日のチセ・チョッチャ=i新築祝い=屋根裏へヨモギの矢を射る)まで、アイヌの伝統的なやり方で建てられた。 ただし、チセコロカムイ(家の神)は秋の木で作られなければならないということで、それにともなう祭りは10月28日に行なわれた。 《 須藤功によるあとがき 「『チセ・ア・カラ』撮影のあらまし」 による 》 この模様は、記録映画『チセ・ア・カラ ― われら家をつくる ―』(日本観光文化研究所/グループ現代)に残されたが、映画と同時にスチル写真が撮られ、萱野茂の文章(日本語とアイヌ語)を添えて出版された。 この本は現在入手困難なため、図書館から借りて読んだ。 著者・萱野茂のあとがき「アイヌ文化と私」によると、「アイヌの家の建て方を一つ一つ最初から手を取って」教えてくれたのは、貝沢前太郎と二谷善之助で、昭和20年代のこと。 執筆時点、彼は観光用、あるいは文化保存のために21軒のアイヌ・チセを建てた。 その20軒目と21軒目にあたる。 この時は、大小2棟の家と高床式の蔵、それに便所まで作っている。 チセの材料は、二風谷から運んだり近くの山林で得た、材木(えんじゅ、どすなら)、繩にする木の皮、ぶどうづる=A屋根と壁に使う大量の萱、など。 道具は、スコップ、のこぎり、木槌、ノミ、ナタなどを使っているようだが(写真から判断)、巻尺などの計測器具は使っていないようで、目測、または木の枝を物差しとして使っている。 この本は、B5版、本文130ページほど、モノクロ写真が各ページの上半分(または全面)、ページ下半分のうち上段に日本語による説明、下段にアイヌ語による説明(カタカナ表記と日本語による逐語訳のルビ)という構成。 場所選びから始まる一工程ずつに細かい説明と写真が添えられ、アイヌの人々の伝統的な知恵と工夫がよくわかる。 また、節目節目に神々への祈りの儀式を欠かさないアイヌの伝統的な精神世界をうかがい知ることができる。 この時のチセは残念ながら取り壊されたというが、アイヌ文化の伝統を伝える貴重な一冊である。 民俗学者の宮本常一が序文をよせている。 映画 『チセ・ア・カラ −われらいえをつくる− 』(1974年)と、同じスタッフによって作られた映画 『アイヌの結婚式』(1971年)については、姫田忠義氏が所長をつとめる「民族文化映像研究所」のサイトに情報が掲載されている。 → 民族文化映像研究所 http://www31.ocn.ne.jp/~minneiken/index.html |
![]() 萱野 茂 |
『アイヌの民具』 萱野茂 著/『アイヌの民具』刊行運動委員会 編/すずさわ書店/1978 アイヌの伝統的な生活用具、施設、それらの材料、食品についての詳細な解説を収めた百科事典≠ニもいえる労作。 A4版、330ページ、布張り装丁の美しい本である。 豊富な写真、ていねいに描かれた図版、萱野茂による解説、巻末にはアイヌ語と日本語による索引、と至れり尽せりである。 巻末の、姫田忠義(『アイヌの民具』刊行運動委員会代表) 「この本ができるまで」 によると、刊行までの経緯は次のようだ。 1.萱野茂自身のアイヌ民具との長いかかわり 初版から20年以上ものあいだ、売れ続けているのはすごいことだ。 それだけの価値ある一冊である。 巻頭に、金田一京助から萱野茂にあてた「手紙」(昭和37年)が掲載されている。 すこし長くなるが引用する。 茂君、君の仕事としては、わけのないことであって、それをすることは、君の名を不朽にすること、それは何であるか。 文中「知里君」とある知里真志保は、『アイヌ神謡集』を残して19歳で夭逝した知里幸恵の弟。 アイヌ出身のアイヌ語学者として偉大な仕事を残しながらも、52歳で世を去っている(1909/明治42〜1961/昭和36)。 |
![]() 萱野 茂 |
『カムイユカラと昔話』 萱野茂 著/小学館/1988初版1刷/1991初版4刷 萱野茂が、1960(昭和35)年から28年間、二風谷を中心に歩き回って古老たちから収録した録音テープをもとに、日本語に翻訳した数々の伝承を集大成したもの。 昔話(ウウェペケレ) 37、カムイユカラ 10、言伝え 1、メノコユカラ 1、子守歌 2、計51作品。 本文536ページの労作である。 本文の他に、一話ごとの解説と、『アイヌの民具』から転載した図版を使ったアイヌ民具の紹介文がついている。 萱野茂がアイヌの伝承を録音するようになったきっかけは、「あとがき」によると ―― 昭和20年1月、20年間私にアイヌ語で語りかけ、今にして思うと途方もなくでっかいアイヌ語という民族遺産を私に手渡した祖母てかってが亡くなった。 収集の成果が、平取町立二風谷アイヌ文化資料館に展示されている320種類、2000点のアイヌ民具である。 民具収集に力を注いでいた昭和30年代になると、昨日まで元気でいたおばあちゃんが今朝亡くなった・・・など、老人一人が世を去ると、一点の灯火が消えるようにアイヌ語が消えることに気づいた。 それでも、「当初の計画の十分の一にも満たない」という。 この貴重な伝承を日本語に翻訳し、『キツネのチャランケ』、『ひとつぶのサッチポロ』など、いくつかの著作として出版してきたが、この本には、テープから新しく訳出したものばかりを収めている。 みごとな集大成である。 巻頭に、「アイヌと神々の世界」と題する総解説があり、たいへん勉強になる。 また、各作品の末尾に、その作品のテーマ、背景、アイヌの風習について、著者の「長い実生活の体験」にもとづき、わかりやすく解説されていて、学者の仕事とはひと味ちがう魅力がある。 言ってみれば、アイヌの生活者のまなざしを感じるのである。 一話一話に収録日、場所、話者が記載されているが、これは、昭和32年8月アイヌ語を録音するために平取町を訪れた知里真志保博士からの助言によるもの。 そのエピソードが、別の著作に書かれている。 ・・・翌朝、宿での別れぎわに、先生はわたしの手を握って、 古老たちの語り口や表情まで目に浮かぶような、うれしい一冊。 この本の巻頭「アイヌと神々の世界」から引用しつつ、アイヌの物語世界を紹介したい。 (萱野茂 『カムイユカラと昔話』 巻頭「アイヌと神々の世界」からの引用を中心に記述) ● ウウェペケレ (昔話) |
![]() 萱野 茂 |
『萱野茂のアイヌ語辞典』 [増補版] 萱野茂 著/三省堂/1996初版/2002増補版 萱野茂が70歳のとき(1996年)に完成したアイヌ語辞典。 見出し項目約6000。 その後、2002年に約600語を追加した増補版を出版。 本文520ページ、日本語索引110ページという膨大な内容。 まさにライフワーク≠ニ呼ぶにふさわしい労作である。 「萱野茂の」 と銘打っているのには理由がある。 「初版のためのはしがき」によると ―― 山育ちの私は、海の魚の名前をあまり知らない。 したがって、この本を作るにあたって、長万部アイヌに拠る魚の名を参考にした以外は参考文献はまったくない。 文字どおり『萱野茂のアイヌ語辞典』であり、少年時代に母語としていた言葉を網羅したものがこの本である。 しかし、これらはいずれも萱野茂がいうところの言語学者≠ゥ、それに近い仕事をしていた人たちの手によるものである(バチラーは言語学者でなく、明治期にアイヌの間で布教活動をした宣教師)。 これらの辞典とちがって、この『萱野茂のアイヌ語辞典』は著者自身が書いているように(「増補版のためのあとがき」)、「アイヌ自身が己が民族の言語を手元へ引き戻す」 のに大きな役割を果たすものだと言える。 もちろん、ぼくにとっても 『アイヌの民具』 とともにこの先、座右に置きたい本である。 * ジョン・バチラー John Batchelor (1854〜1944) 英国人宣教師 |
![]() 萱野 茂 |
『五つの心臓を持った神 アイヌの神作りと送り』 萱野茂 著/小峰書店/2003 2001年、総合研究大学院大学から博士(学術)号を贈られた論文を本にしたもの。 → 総合研究大学院大学 http://www.soken.ac.jp/ 本のサブタイトルにあるように、アイヌ民族の伝統的な「人の送り」「器物送り」「諸々の動物の送り」についてアイヌ語の「送りの言葉」を示しながら論述したものである。 「論文」といっても学者臭の全くない読み物であるが、構成がしっかりしていてすばらしい。 参考として目次を紹介する。 第一章 人間の送り このように、アイヌの精神世界の伝統(著者の言葉によれば、アイヌの「心」)を書物にまとめてくれた努力と研鑚に拍手を贈り、感謝したい。 |
![]() 萱野 茂 |
『アイヌ・暮らしの民具』 萱野茂・文/清水武男・写真/クレオ/2005 (A5版/160ページ) 2005年7月に出版された、萱野茂の最新刊。 「天の国から、役目なしに降ろされた物はひとつも無い」 ―― オキクルミカムイ≠ゥら教わったとされるアイヌの生活文化。 その文化の中で伝えられてきた美しい民具の数々と、背景にあるアイヌの人々の暮らし、考え方を紹介する写文集。 『アイヌの民具』(1978)に続く2冊目の民具関係の著作だが、博物館の中で死んだまま展示≠ウれている古民具ではなく、萱野夫妻の手作りによる、生命感あふるれる民具が中心である。 コンパクトな本ではあるが、萱野茂の長年にわたる仕事の集大成と言える一冊。 目を見張るばかりのカラー写真と、萱野茂の文章の組み合わせがいい。 1800円(税別)という手頃な価格。 多くの人に読んでもらいたい本だ。 遥か遠い昔のこと、 序章 「イコロ・オ・プ ikor-o-pu との出会い」 (注) イコロ・オ・プ : 宝物を入れる蔵 |
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